2017年2月24日金曜日

アーヘンレポート。おしどりマコさん講演会




2017年2月18日、まきばのこひつじ1号、2号は、おしどりマコさんの講演会を聞くためにアーヘンに行ってきました。
アーヘンは、ブリュッセルから車で1時間半ほどのドイツ側に位置します。神聖ローマ帝国カール5世が戴冠した有名なカテドラルがあるきれいな街です。
そしてベルギーのティアンジュ原発から60キロの街でもあります。1968年に運転を開始をされた古いティアンジュ原発は、今まで様々な問題を起こしています。最近の稼働延長を受けて、オランダ、ドイツからも停止するように訴えています。アーヘンの市民も大きな危機感を持っているように見えました。
今年6月には、ティアンジュ原発停止を求めて、アーヘン→マーストリヒト→リエージュ→ティアンジュを繋ぐヒューマンチェーンが企画されています。


おしどりマコさんの講演会は、アーヘンの反原発グループとデュッセルドルフの日本人グループ「さよなら原発デュッセルドルフ」の共同イベントとして開催されました。
会場となった教会の施設は広くて明るく、無料で借りることが出来るのだそうです。
たくさん人が来るかしら、と心配していると、講演直前には地元の人達でいっぱいになりました。


マコさんのお話は、福島周辺の汚染状況を丁寧に説明するところから始まりました。
今まで日本で発表されているものの他に、今回マコさんたちが訪れたドイツのブラウンシュバック物理研究所(PTB)で観測されたデータも示されました。
PTBでは、常に大気中の放射線濃度を測っています。そこでマコさんは、福島原発事故の10日後に放射能が世界を回ったことを知ったそうです。
現在まで、日本で公表されている事故で排出された放射能各種はヨウ素131だけです。
グラフには、事故によって放出されたセシウム137がはっきりと見てとれます。


除染実施地域の地図の説明をしている時に、会場から「白い部分は汚染されていないのか?」という質問がありました。
マコさんの答えでは、地図の色付けされている地域は自治体の判断で除染したところであって、白い部分は除染をしていない地域だということです。いくつかの自治体では、汚染があったとしても、観光地であるという理由で除染をしないと決断したのです。


 福島県民の健康被害に関してのお話では、マコさんが県民にインタビューをしている中で、子供だけでなく大人達にも甲状腺ガンになる人が増えているように感じるそうです。
チェルノブイリの原発事故以降、唯一、子供の甲状腺ガンだけが、事故との因果関係が認められていることから、福島の場合でも、子供の甲状腺ガンに関する調査は盛んにされていますが、大人に関しては全くされていません。
大人の甲状腺がんは、事故後、何も知らされてない農家の人たちが山の水を飲んだり、自家栽培の野菜を食べたりしていたことが原因になってると思われます。
他のタイプの健康被害も、外で働いている農業や配達の仕事をしている人達に顕著に現れているということです。野菜にも様々な異変が起こっています。写真は、根が5カ所から出ているタマネギです。


現在、福島のほとんどの地域が避難解除を行う中、帰還希望者への説明会が行われています。川俣町の説明会では、農家の人達の質問に対して、とんでもない答えが返って来ています。「除染していない場所を通るときは、息を止めて早足で通り過ぎるように」、また「汚染された土ぼこりを吸い込んだ場合は、鼻を擤めばよい」 というようなものです。
配られているパンフレットも、まじめに作ってるとは考え難いようなものです。
マコさんは、先祖代々耕して来た土地を捨てたくない農家の人達の気持ちが、帰還を促す側に利用されているように感じているそうです。
故郷に帰りたい人達は、放射能と共存する事を自発的に選択せざるをえないのです。 


 福島の人たちに寄り添った取材により、マコさんは、多くの真実を私たちに伝えてくれています。現在、国会で審議されている共謀罪のようなものに、マコさんの活動が脅かされることのないよう祈っています。
それほど、わたしたちの社会はギリギリのところにいるように感じています。
世界が大きく変化する中、何が事実なのかを見極めるソースを持つことが大切です。
マコさんは、そのソースを提供できる貴重な人のうちのひとりなのだと痛感しました。



最後に、おしどりの漫才もありました。ケンさんが針金で作品を作り、マコさんがアコーディオンを演奏。二人の楽しい掛け合いに、会場は笑顔に包まれました。とても楽しかった。ポジティブなパワーをたくさんもらいました。
厳しい現実を受け入れつつも笑顔を絶やさない、お二人の芯の強さを垣間見た講演会でした。会場の皆さんも同じような思いだったのではないでしょうか。





マコちゃんケンちゃん、本当にありがとう。